横浜国立大学社会科学系同窓会

ご案内・告知

2013/04/22

第86回富丘会総会(3) -総会講演のご案内-

元TBSキャスター、下村健一氏による総会講演をご案内します。

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総会講演会:『情報という"縁"があふれる社会で』

講師:下村 健一氏(元TBSキャスター)

 現代の情報化社会に於いては、一昔前までなら明らかに"無縁"だった人達が、あなたの噂をネットで流布し、勝手に断罪し、時には瞬く間にスターにします。袖さえ触れ合っていない他人が、あなたの運命を左右しかねないほどの"縁"を持つという、奇妙な時代になりました。

 「情報化社会」の実相は、情報という名のボールが四方八方から無秩序に飛び交う社会です。限られたボールをやり取りするだけだったキャッチボールの時代とは、明らかに違うスキルが1人1人に求められています。

 飛んで来る情報をエラーせずに捕球(受信)し、自分も暴投せずに投球(発信)すること。そんな技術のことを、「メディアリテラシー」と言います。

 メディアリテラシーを身に付けること―――それは、単に「情報に踊らされる《被害者》にならないように」という自衛策だけではなく、「屈託なく誤報を二次感染で広める《加害者》にならないように」という、現代を生きる者の責任でもあるのです。

 今の中学生たちは、国語の教科書の半分以上にこうした学習項目が入っています。しかし、私たち大学卒業済み世代は、このようなスキルを学校で体系的に勉強することはありませんでした。その機を逸した大人たちには、もうメディアリテラシーを学ぶ機会は無いのでしょうか?

 「そんなもの、わざわざ勉強しなくても、自然にわきまえているから大丈夫」と、多くの大人は胸を張ります。しかし、四半世紀をテレビ報道の世界で過ごした私は、この社会が如何に簡単に情報を鵜吞みにしてしまうか、その恐ろしいほどの実情を目の当たりにして来ました。

 そこで今回は、そうした実情を様々な事例で皆さんに体感して頂きながら、たとえ予備知識ゼロの分野でも批判的な眼力を持てる《4つの?(ハテナ)》の効用など、とことん実践的なお話を致します。

 過信も全否定もせず、情報と正しく付き合っていくことさえ出来れば、インターネットなどが繋ぐ現代のこの不思議な"縁"から、「今再び、未来を拓く」ことが出来る。私は、そう楽観しています。

【経歴と主な著書】

しもむら・けんいち

1960年東京生まれ。東京大学法学部政治コース卒。

TBS報道アナウンサー、ニューヨーク特派員等を経て、2000年退社後はメディアリテラシー教育、市民メディア育成に従事。その傍ら、フリーとして「サタデーずばッと」「NEWS23」などにレギュラー出演。2010年秋から2年間、内閣官房審議官(内閣広報室)。今年度より慶應大学特別招聘教授、関西大学特任教授など。

主著『マスコミは何を伝えないか』(岩波書店)、『首相官邸で働いて初めてわかったこと』(朝日新書)。

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