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2016/06/02 第89回富丘会総会特別企画カウントダウン・コラム 第89回富丘会総会

第89回富丘会総会特別企画―講演者によるカウントダウン・コラム第三回

<2016年度の日本経済の最大のリスクは?>

河野龍太郎(87済:BNPパリバ証券チーフエコノミスト)

最大のリスクは、大幅な円高進展です。物価を調整した実質ベースの円レートは1976年以来の歴史的な超円安にあり、日本国中、外人だらけなのは、日本の財・サービスが大バーゲンになっているからです。問題は、米国や中国の輸出セクターが疲弊し、経済的にも政治的にも持続可能でなくなっていること。米大統領選挙でも為替が争点になっています。結局、アベノミクス最大の成果である円安誘導による株高は、米中の輸出企業の犠牲の上に成り立っていたのです。年初の国際金融市場の混乱も、彼らがドル高や人民元高に耐えられないと悲鳴を上げ始めたことがきっかけです。大幅円高は輸出企業には大打撃ですが、実質購買力の改善する家計には朗報です。


加藤出(88済:東短リサーチ チーフ・エコノミスト)

安倍首相は、消費税率引き上げ延期を発表した際、「アベノミクスを加速させる」と宣言しました。もし成長失速につながるイベントが何か発生したら、政府は財政支出拡大による景気刺激策を実施するでしょう。その点では、短期的な景気底割れリスクは低下したといえます。しかし、長期的な財政のリスクは一段と高まってきたと思われます。日銀の巨額の国債買入れとマイナス金利政策により、今年2月以降、10年物国債ですら利回りはゼロ%未満となりました。マイナス金利で借金を増やせるため、政府・与党の財政規律は弛緩し始めています。将来振り返ったとき、「2016年度は財政破綻への道を切り開いた年だった」とならぬことを祈りたいものです。


熊野英生H2済:第一生命経済研究所主席エコノミスト

わが国を取り巻くリスクを挙げると、①円高、②中国経済減速、③財政再建の頓挫、が念頭に浮かぶ。昨年12月から利上げを進めようとしている米経済が足踏みすると、①円高リスクにつながる。英国のEU離脱(Brexit)も円高リスクだ。さらに、トランプ大統領候補の言動も円高リスクになる。目下、②中国リスクは、人民元切り下げが一服し、資本流出に歯止めがかかって遠のいた。③の財政再建は、消費税増税の日程を仮に動かしたときにどうなるかが焦点だ。「最大のリスク」というよりも、わが国は複合的なリスクにさらされて綱渡りをしている。最大のリスクとは、目前の各リスクを適切に評価できずに、政策が政治的思惑だけで動かされることだ。

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