横浜国立大学社会科学系同窓会

ご案内・告知

2014/03/18

第87回富丘会総会のお知らせ(3) -総会講演会のご案内-

第87回富丘会総会:講演会
『グローバル経済下での会計・監査及びコーポレートガバナンス』
講師:元日本公認会計士協会会長 藤沼 亜起 氏
新聞やテレビの報道を見る迄もなく日々の日本の株価や為替相場は世界の経済の動きに大きな影響を受けているし、同時に、日本市場の動向も世界に何らかの影響を与えている。経済のグローバル化が急速に拡大しているようだ。
1977年に職場の同僚や家族に見送られて羽田空港から海外赴任した時から数えて37年目になるが、この間私の専門分野領域においても国際化が進展し、当時と比べると隔世の感がある。公認会計士として国際化の先兵を務めた経験を踏まえ、日本の今後の企業社会や金融・資本市場のグローバル化についての私見を富丘会の講演会で述べてみたいと思っている。
「会計」は英語では「Account」,つまり勘定、計算書、説明する、などの意味を表す語から派生し、Accounting(会計・経理)、Accountant(会計士)そしてAccountability(報告責任)へと広がってきた。企業経営者が株主や債権者から提供を受けた資金を営業活動などに活用した成果を株主総会などで説明する報告責任の重さは、今や社会において組織のトップが果たすべき責任として共通認識となっている。しかし経営者の報告責任を果たすために作成する財務諸表の基礎となる会計基準については、国際基準を使用すべきと意見はまだ少数派である。国際会計基準(IFRS)は既に世界100カ国以上の国の上場企業に採用されているであるが、我が国では任意適用を選択した会社数がまだ22社程度に止まっている。
一方「監査」は、会計監査専門家として独立した立場で、企業の作成する財務諸表の適正性や相当性を監査した上で意見を表明する監査報告書の作成が必要となる。監査は監査基準に基づいて実施するが,幸い日本では監査人が拠って立つ監査基準の国際化が進み国際監査基準(IAS)に概ね準拠したものなっていると言われている。しかし監査時間の十分性や監査報酬単価(時間当たり)の国際比較では欧米諸国の監査の水準と比べ改善の余地があるようだ。
このような(外部)監査は、「コーポレートガバナンス」(企業の統治機構)の役割の一翼を担っているが、日本企業のガバナンス体制はまだまだ脆弱であると言われている。その代表例として言われてきたものは、上場企業に外部取締役の採用が遅れている点にある。取締役会は企業の重要な意思決定機関であるが、内部の身内である業務執行者のみによって構成された取締役会が、本当に株主などの利害関係者の声に耳を傾けてくれるのかという懸念が度々指摘されている。
今回の会社法の改正案では見送られたものの、株主総会で外部取締役を採用しない理由の説明を求められるなど経営者の説明責任は徐々に強化されている。
自動車はエンジンだけでは動かない、ブレーキなどの制御装置に加えシートベルトやエアーバックなどの安全装置があって初めて安心して運転できる乗り物となる。その役割を果たすのが内部統制などの制度設計に関与する取締役会の役割である。講演会では、外部取締役や監査役の経験を踏まえ、会計・監査及びコーポレートガバナンスが十分に機能しているか否かについて検討を加えたい。
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藤沼 亜起(ふじぬま つぐおき)氏のご経歴
中央大学商学部卒業、元新日本監査法人(現新日本有限責任監査法人)代表社員
2000~2002  国際会計士連盟(IFAC)会長、
2004~2007 日本公認会計士協会(JICPA)会長
2005~現在 IFRS財団評議員、現在評議会副議長
2004~現在 財団法人財務会計基準機構理事、現在評議員
2006~現在 金融庁企業会計審議会 臨時委員
2007~2013  東京証券取引所(外部)取締役、同社自主規制法人(外部)理事
その他 上場会社の取締役及び監査役などを務める
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